『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』

ミステリには「倒叙モノ」と呼ばれるジャンルがある。犯行を犯人の視点から描き、探偵役がいつトリックの粗に気づくかや、追い詰められる犯人の心理を見せていくものだ。有名な作品では『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』が挙げられる。

『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』は、週刊少年マガジンで連載していたミステリ漫画『金田一少年の事件簿』を犯人の側から描き、トリックの成立に奔走する彼らの努力や焦りを見せる。

シリアスな本編とは違い、追い詰められる犯人たちをコミカルに描き笑える漫画になっている。たとえば『オペラ座館殺人事件』の犯人は顔を包帯でぐるぐる巻きにしてホテルにチェックインするのだが、「この状態で泊めてもらえるだろうか」と怪しい風体に内心ドキドキ。泊めるほうも「怪しさがすごい…泊めたいという気持ちが1ミリも起きん」と独白。

怪しさがすごい…!!

各回の最後にはインタビュアーが犯人たちに「敗因」と「金田一を倒すために必要なもの」を聞くのだが、『雪夜叉伝説殺人事件』の綾辻真理奈は読者が一度は思ったであろうことを代弁する。

だが続く『タロット山荘殺人事件』では、犯人が金田一にダイレクトアタックを仕掛けるものの、吹雪の冬山から外套もなしに生還するタフネスっぷりを見せつけられる。犯人たちの「こうすれば勝てるのでは?」を毎回、推理力だけではなくフィジカルも使って乗り越えていく金田一。出会った犯人は己の不幸を恨むしかない。

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