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『悪役は恋しちゃダメですか?』感想

悪役は恋しちゃダメですか?

悪役は恋しちゃダメですか?』は、転生もののなかでも「悪役令嬢もの」に分類される。このジャンルは主人公が前世でプレーしていた乙女ゲームだったり、読んでいた漫画だったりの世界に転生し、本来の物語ではBADエンド一直線の悪役令嬢として生きる姿を描く。主な読者は女性。

主人公は「物語の筋をなぞれば不幸(処刑、国外追放)になる」ことが分かっているから、何とかして原作の攻略対象キャラと関わらないようにしたり、シナリオとは違う方向に進んで運命を変えようとしたりする。

その過程で高飛車な悪役令嬢ではなくなった庶民派令嬢に周りの評価も一変し、原作では嫌われるはずだったキャラクターたちから好意を向けられるようになり急接近。原作キャラと距離を置きたい主人公はドッタンバッタン大騒ぎ……というのが基本。

『悪役は恋しちゃダメですか?』あらすじ

高飛車な悪役令嬢のミレーヌは、大好きな王子レンドールと婚約中。しかし転生者であることに気づいたことで、普段はツンツンな上から目線なのに、イジられると真っ赤になり、本当はウブで泣き虫キャラだとバレてしまった!

そんなミレーヌの泣き顔が彼のツボを刺激したようで……「俺を煽って、あぶり殺す気か。俺以外の男と絶対に口をきくな。きいたら泣かす!」という俺様ぶりを発揮されて!?レンドール王子からは大人のいじめ(!?)を仕掛けられ、イケメンドS従者からは容赦なく突っ込まれる。

ミレーヌを欲しがる隣国の王子も入り乱れて、恋愛初心者な悪役令嬢ミレーヌ、ドキドキが止まりません!?

「可愛いな、ミレーヌは砂糖菓子でできているようだ……」

「ひゃあっ、舐めるのは禁止です!味見はお断りいたしますので!」

Kindle Unlimited(月額読み放題)対象作品

『悪役は恋しちゃダメですか?』感想

本作は大きく分けると3つのパートで構成されている。

  1. 乙女ゲームの世界に転生したと気づいたミレーヌが、婚約者のレンドールに棄てられる前に身を退こうとするが、実は彼と両想いだったと知る
  2. 想いが通じ合ったと喜ぶミレーヌだったが、素直になれない俺様王子の態度や彼の周りに集まる愛妾(ワンチャン)狙い令嬢の存在に落ちこみ、そのたびレンドールに溺愛される
  3. 封印されていた魔女が目覚め、学園を巻き込む魔法バトルが勃発。窮地に陥ったレンドールを救うため、ミレーヌの隠された能力が目覚める。

1と2は自分に自信のないミレーヌがちょっとしたことでネガティブ入り、落ちこんでは周りに励まされながら、レンドールのベタ甘に絆されていくという流れが続いている。

ミレーヌが後ろ向きになるきっかけは毎回ちょっとずつ変化つけてるけど、基本的には同じことの繰り返しになるため、中盤は中弛みして飽きる。構造で見ると同じことを繰り返してるだけになってしまってる。

1では乙女ゲーム本来のヒロインとレンドールの仲を疑い、2ではレンドールに近づく貴族令嬢との仲を疑い。その合間に自己評価の低さからネガティブになり。

全体の60%くらいの流れは「ミレーヌが落ちこみ、ひとりでウジウジ悩む→サブキャラに励まされる→レンドールがミレーヌのそばにいた男に嫉妬する→レンドールがミレーヌに愛されてることを感じて喜ぶ」の繰り返し。

その繰り返しでいいんだ、擦れ違いを重ねながらベタ甘になっていく2人をコミカルに描く作品なんだと全振りするでも、解決の仕方にバリエーションをつけるなどして変化が欲しかった。

最後のバトル展開になって締める流れは定石通りというか、よく見るパターン。

物足りなかったのは、あらすじに出てくる「ミレーヌを欲しがる隣国の王子」ことケインが、序盤にミレーヌへアプローチかけるものの中盤からは空気になり、終盤まで目立った活躍をしなくなってしまうこと。

もっと情熱的に来るかなと予想してたら全然そんなことなかった。

巻末にある特典SSが一番面白かった。ミレーヌの謎多き従者ライディの過去が語られるコメディ色強めの短編でクスっときた。

同じ作者の作品だと前に読んだ『オオカミ殿下と氷の姫君』がコメディに全振りしてて面白かった。エッチ描写ありのレーベルから出てる作品なので勧めづらい部分あるけど。伝説の狼に変身できる王子が完全なエロ駄犬。

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