オタク暮らし

『黒子に恋は、いりません。』1巻ネタバレと言うほどでもない感想

少女漫画には何らかのトラウマだったり、独自のポリシーだったりで自分は恋愛劇の主役にならない、キラキラした青春を遠くから見ている観客に徹するんだと決めている主人公が登場します。とは言え、彼女たちは主人公ですから、その意に反して恋愛劇の渦中に放り込まれ、愛だの恋だのに翻弄されることになります。

黒子に恋は、いりません。』の主人公・沢村里子もそんなキャラクターです。

黒子に恋は、いりません。

昔から恋愛運のない里子は、社会人になってから付き合った男に妻帯者だったことを隠され、知らないうちに不倫の関係になっていました。相手の奥さんに関係がバレ、一方的に男から別れを切り出されたあと地元に戻って母校の教師になります。

かつては人並みに青春を謳歌していた里子でしたが、恋愛で傷ついた現在は人形浄瑠璃などで言うところの黒子に徹し、高校生たちの眩しい青春を特等席から眺めるのが趣味になっています。

黒子に恋は、いりません。

そんな里子が新米教師としてやっていくなかで2人のイケメンと関わりを持つことになります。

かつての担任で想い人・新巻豪

この学校は私立校のため何年も同じ教師が務め続けています。里子が高校生だった時代に彼女の担任を務めた新巻豪も残っていました。里子の高校時代を知る新巻は、すっかり変わってしまった彼女に教え子時代の面影を重ねます。

黒子に恋は、いりません。

序盤からほのめかす程度に描かれますが、どうやら里子の在校中に彼女と豪は単なる生徒と教師ではない、一歩進んだ関係だったようです。

昔は教師と生徒で忍ぶ恋をしていた2人が同僚として再会。恋の炎が再燃しそうなシチュエーションですが、豪は既婚者になっているため里子は“そういう感情”を押し殺します。チラチラと目で追っかけては切なそうな表情を浮かべる様子は、完全に振り切れたとは言えませんね。

そんな里子を見る、もう1人の男がいます。

品行方正なモテ男だけど裏の顔がある成宮葵

黒子に恋は、いりません。

年上の豪とは正反対の存在として現れるのが成宮葵です。

彼は豪が担任、里子が副担任を務めるクラスの生徒。ルックス良し、成績優秀、バレー部のエースで品行方正と絵に描いたような優等生でモテ男です。しかし、それとは別の顔がありました。

黒子に恋は、いりません。

葵が校内で女子生徒と致そうとしていたところに立ち会ってしまう里子。その場は葵によって救われますが、代わりに彼からキスされてしまうことに。その瞬間に黒子に徹していたはずの里子のなかで、自分がステージの中央に立ってスポットライトを浴びるイメージがパーンと浮かびます。

この恋愛劇で名実共に里子が主人公になった瞬間でもあります。

この後は少女漫画のお約束として葵が里子に惹かれ、高校生らしい無鉄砲さと情熱でグイグイ距離を詰めてきます。



『黒子に恋は、いりません。』の感想と見どころ

里子の高校時代と現代がクロスオーバー

いまでこそ黒子に徹して高校生たちの恋愛を眺めているだけの里子ですが、かつては彼女も女子高生であり、恋愛劇の主人公でした。良く言えば落ち着いた、率直に言えば少し陰気になった現在の合間に、年齢相応にキラキラして馬鹿もやってた女子高生時代のイメージが挿入されます。

話が進むと言動にも少し砕けたところが出てきて笑顔が増えます。そんな姿に豪は昔を思い出し、葵は「そっちのほうが良いよ」と言ってくる。

黒子に恋は、いりません。

果たして里子が黒子の衣装を脱いで舞台の中央に進み出る日は訪れるでしょうか。

恋と熱情だけでは突き進めないのよ、大人だから

自分の恋心をハッキリ自覚した葵は、里子先生すきすきモードに入るわけなんですが、それを里子の側は正面から受けるわけにいかんのですよ。相手は未成年だし、自分は教師だし、だけど好きって言われてときめく自分もいたりして。

黒子に恋は、いりません。葵の勢いに押されて入ったカラオケボックスにて

自分も葵に異性として惹かれていく部分を感じながら、しかし理性とモラルによって彼を突き放す里子。

「…だから嫌なのよ。何もわかってない子供はっ。人の立場も考えずガツガツ来て、何かあっても迷惑するのはこっちなのに」

だけど、それって高校生時代に里子が豪にやったことと、果たして何が違うんだろうと思ったり。経験者なればこそ面倒なことになると分かっての拒絶かもしれませんね。

葵は昔から里子のことを知っていた?

第1話の段階から少し気になっていたことがあります。言動の端々から、葵が高校生時代の里子を知っていたようなニュアンスで、昔の彼女と現在の彼女を比べている気配があるんです。

里子は覚えていないが、葵は昔から里子のことを知っていた? そのヒントになるシーンが4話にあります。

廊下で出会った葵と豪。葵は豪に対し「――オレ、好きみたい。沢村先生のこと」と宣言します。そんな葵に豪は普段どおりおちゃらけた感じで対応するのですが、葵は重ねて「もう関係ないよね沢村先生と。関係ないよね。兄貴」と豪が里子と完全に切れていることを確認します。念押しと言っても良いのかな。

黒子に恋は、いりません。

なんと豪と葵は兄弟だったのです。名字が違うのは家庭の事情などが絡んでくるのでしょう。

豪は葵からの質問に応えず「頑張れよ弟」と言い残して立ち去ります。豪のなかでも里子への想いは昇華しきれてないようです。

いまのところ単行本1巻まで読みました。単行本は5話まで収録されているんですが、これが良いところで次巻に続くんですよ。

1話にも登場した遊び相手の女子に、葵は里子がいる前で「好きな人ができたから無理」とハッキリ意思表示します。それを嬉しいと思ってしまう里子。校舎の隅で葵にキスされながら、今度こそ自分が恋愛劇のステージに上がってしまったことを認めます。

イィィイヤッホオオオオって感じの展開で終わり。気になるので2巻以降も読むしかねえな!

コメントを残す