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因縁の対決キリオス対ナダル戦 キリオスの反骨心を生んだ人種の問題とは

全豪オープンテニス4回戦が1月27日に行われる。因縁の対決と注目されるのが男子シングルスのラファエル・ナダルニック・キリオスの一戦だ。

第1シードのナダルと第23シードのキリオスによる試合が因縁の試合と呼ばれる理由を振り返ってみよう。

ナダル戦でキリオスが繰り出したアンダーサーブ、ボディショット

ナダルとキリオスは過去に7度対戦している。戦績はナダルから見て4勝3敗。キリオスがナダルから奪った勝利で最も衝撃的だったのは、2014年のウィンブルドンで当時世界ランク1位だったナダルを、まだ144位だったキリオスが破った一戦だろう。

両者は2019年にもメキシコ・オープン、ウィンブルドンで対戦しているが、この2戦は遺恨を残すものだった。

メキシコでナダルと対戦したキリオスは意表を突くアンダーサーブ。これにナダルが「彼は観衆、対戦相手、自分自身への敬意を欠いている」とコメントした。だが、そんなことはお構いなしとばかりにウィンブルドンでもアンダーサーブを繰り出し、強打を警戒していたナダルからポイントを奪った。

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さらにウィンブルドンでは、キリオスがナダルの身体を狙ったボディショットも見せ、試合後に「わざと打った。うまく避けたな」とコメント。ボディショット自体はルール違反ではないが、スポーツマンシップに欠ける行いだと批判された。

ナダルも「あんな風に打ったらボールはどこへでも飛んでいってしまう。主審や観衆が大変だ。目にでも当たったらどうする」と苦言を呈した。



サーブにかける時間が長いの警告にナダルの真似

開催中の全豪オープンでもキリオスとナダルの間には新たな火種が生まれた。キリオスは2回戦のジル・シモン戦で、決められた時間内にサーブを打たないタイムバイオレーションの警告を受けた。

これを不服としたキリオスは次のサービスで、ナダルがサーブ前に行うルーティンを真似た。ナダルがサーブに時間を掛けることは有名。彼もタイムバイオレーションを取られているのだが、キリオスからするとナダルのサーブはもっと警告を受けていいものに見えたのだろう。

このアピールには「相手がナダルでも警告したか」という皮肉が込められている。

このときは対戦相手のシモンもナダルの真似をしたため会場は笑いに包まれた。

キリオスの反骨心を生んだ人種の問題

歯に衣着せぬ発言と怒りの導火線が短いことで“テニス界の悪童”とも呼ばれるキリオスだが、なぜ彼はこんなにもイラだっているのか。その理由は彼の出自にあると言われる。

キリオスはギリシャ系オーストラリア人の父とマレーシア人の母の間に生まれた。キリオスはオーストラリア生まれオーストラリア育ちだが、両親は純粋なオーストラリア人ではない。そして彼にはアジア人の血が入っている。そのことで幼少期には疎外感を覚えることもあったとされる。

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それはプロテニス選手になっても変わらない。いまでこそアジア系の選手も活躍しているが、もともとテニスは白人社会のスポーツだ。そのためツアー初期には苦労させられた。彼には自分がアジア人の血を引いているため、正当なリスペクトを受けられてないという気持ちがあるのではないか。

そうした人種差別的な経験がキリオスの反骨心を生んでいる。それがポジティブな感情と結びつきモチベーションになっているうちは爆発的な強さを発揮するが、ひとたびネガティブな気持ちと結びついてしまうとフラストレーションや無気力試合につながってしまう。

悪童のレッテルを貼られたキリオスだが、自分をひとりのテニス選手として評価してくれる人間には、思いのほか当たりが柔らかい。BIG4と呼ばれたナダル、ロジャー・フェデラーノバク・ジョコビッチアンディ・マレーのなかでもマレーとは良好な関係だった。

同じアジア系でありながら世界ランク4位までのし上がった錦織圭のことは尊敬している。錦織とは4度対戦して4度破れているが、常にプレーを称賛し続けてきた。錦織が臀部の痛みで大会を途中棄権したときも、Twitterで「錦織は痛みに弱い」と書いた白人ジャーナリストに「プロでもない人間に言われる筋合いはない」と噛み付いたことがある。

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