今回は漫画『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』を紹介していきます。それにしても長いタイトルですね。小説家になろう原作らしいと言えなくもないですが。
小説に憧れ大陸の端から軍人になるため都会に出てきた少年ロイドは、自分のことを「村で一番弱い」と卑下していたが、実はロイドの暮らすコンロン村が英雄の子孫たちの住む場所で、その気になれば世界も滅ぼせるような人間たちの集まりだったというお話。
コンロン村では最弱のロイドも、世間一般的には魔王を子供扱いできる実力者。しかし、それに気づかないロイドは周囲に勘違いと騒動の種を振りまいていきます。
目次
『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』あらすじ
村で一番弱い少年が小説に憧れ軍人を目指す

周囲に止められるも反対を押し切って村から飛び出したロイドは、村長の勧めにより『イーストサイドの魔女』と呼ばれる女性を訪ねます。
ちなみに村長の外見は幼い女の子ですが、実際は何百年も生きている年齢不詳の人物で、いわゆるロリババアです。
この村長がまた騒動の種になってきます。
居候先は村長の弟子という魔女

村長の紹介で向かった先には『イーストサイドの魔女』ことマリー。初登場シーンこそ魔女の威厳たっぷり、クールビューティーを演じますがすぐにボロが出ます。
居候志望のロイドを「うちは下宿屋じゃない」と追い出そうとしますが、コンロン村のアルカ村長からの紹介と聞いた途端に態度が急変。通信用の水晶を通して村長が姿を見せるとマッハ土下座です。

大人げないところもある村長ですが魔法使いとしての実力は世界最強クラスらしく、超古代文明の魔法形態である「ルーン文字」を事もなげに操ります。ただし、その使い途は「ロリバアア」を連呼したマリーに『小さな不幸が降りかかる呪いを掛ける』といった、しょーもないもの。

比較的簡単な解呪のルーンを使えるようになるにも、村長の下で3年間の厳しい修行が必要だったマリーは「下らないことに使いやがって」と余計にイライラしてしまいます。
この世界でルーン文字は古びた太古の超魔法文明なので、簡単な文字でも使えるのは限られた極一部の才能だけ。マリーも世間の基準からすると相当に優秀な魔法使いなんですよね。
村最弱の少年は王都じゃ規格外
泣き疲れてふて寝してしまったマリーが目覚めると、ロイドは朝食を作って待っていました。彼の心優しさや料理の腕前に感心したマリーは、本当に軍人志望なのかと疑問を抱き口にしてしまいます。
その疑問を聞いたロイドは、実は村で一番弱くみんなにも反対されたのだが、小説に出てくる気高い軍人に憧れてどうしても夢を叶えたかったんだと目標をまっすぐに語ります。

ここまではしんみりした話でしたが、ここからなろう系っぽい展開になります。
ロイドの自分は弱い語りがことごとく規格外エピソードだらけ。
- 村から王都まで6日かかった→普通は汽車と馬車を乗り継いで6日だがロイドは走って6日
- 薪集めや魚捕りもろくにできない→薪にする木は人を襲うモンスター、魚も牙や角があるモンスター
- あんちゃんとの手合わせで丸一日寝込む非力→全身骨折から回復するのに一日
- 王都に来るまでモンスターに出会わなかった→弱すぎてモンスターと認識できてないけど一般人ならヤバいレベル
極めつけはマリーが会得に何年も要した解呪のルーン文字を、部屋の掃除に平然と使ってしまうところ。

ここでネタばらし。実はロイドの生まれた村は古の英雄たちが世界を救ったあとに安らぎを求め移住した場所で、これまで人知れず世界を救ってきた人外魔境の巣窟だったのです。
周りがバケモノぞろいのため自信を失っているロイドですが、一般人から見るとロイドも伝説級の強さ。果たしてこの先の生活はどうなるのでしょうか。
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『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』の感想と見どころ

無自覚に無双するロイド
なろう系にもいくつかのパターンありますが、本書は主人公が自分では気づかないうちに世界最強クラスの実力を身につけていて、自分なんか大したことないと思いながら行動してると知らずに世界とか救っちゃってる系です。
無自覚チートは好き嫌い分かれるジャンルでもあります。それは主人公が「僕なんて大したことないよ」「あれ? 俺またなんかやっちゃった?」と惚けながら、学習能力ゼロで同じパターンを繰り返し続ける姿がイラッとする、同じ展開を何度も見せられることに我慢ならないためです。
一世代前のラノベ(ライトノベル)では、難聴系主人公とか鈍感主人公とかが、似たようなヘイトを集めていました。何度そのパターン繰り返すねん、と。

『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』に対しても、Googleの関連キーワードに「うざい」「嫌い」といったネガティブな言葉が出てきます。
ジャンル自体を苦手に感じている人もいるため仕方ないですが、私はお話作りのパターンがロイドの勘違い一辺倒になり過ぎな部分はあるにしろ、概ね好感を持って読めました。ロイドのキャラクターが良いためでしょう。
本当に純朴で素直でいい子なんですよ、ロイドは。そのために自己肯定感が育たず無自覚チートを繰り返しますが、またかと思いつつ応援してやりたくなる主人公です。
魔女のマリーはリアクション上手
ロイドを預かることになった魔女のマリーは、彼の無自覚チートに振り回され、初日から常識がグラグラと揺らぐことに。マリーも一般人基準では十分に優秀な魔女ですが、相手は英雄たちの住む村から出てきた少年ですからね。
ロイドのチート過ぎる能力を見せつけられるたび、壁に頭を打ち付ける、壁をぶち破って外に飛び出すなどのリアクションを見せます。

初登場時の威厳が欠片も残ってません。
なろう系アニメ化ラッシュの流れに乗れるか
『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』には、ベルト姫と呼ばれる貴族令嬢のセレン、左腕が義手の女軍人リホなど個性豊かなキャラクターたちが登場し、ロイドを巡ってドッタンバッタン大騒ぎします。
ロイドが使う解呪のルーンによって無自覚なまま呪いのベルトから解放されたセレンは、彼を運命の相手と信じ込み常軌を逸した行動(ヤンデレ)に走り始めますし、最初はロイドを金づると見ていたリホも彼の人柄に触れて憎からず思っていきます。
無自覚チートだけじゃなく、無自覚ハーレム主人公でした。
ここ何年かアニメ界では小説家になろう初の作品をアニメ化する動きが活発で、『この素晴らしい世界に祝福を!』や『転生したらスライムだった件』などはアニメも好評を博しました。
『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』もアニメ化ムーブメントに乗って、アニメになるポテンシャルは持ってると思います。
『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』と一緒に読みたい漫画
『賢者の孫』原作:吉岡剛 漫画:緒方俊輔
事故で死んだはずの青年が異世界で赤ん坊に転生し優しい老人に拾われるが、実は彼こそかつて世界を救った大賢者だった。人里離れた山奥で大賢者に育てられた少年シンは、気づかぬうちに規格外の魔力を身につけ、それに反比例して常識知らずの人間に育ってしまう。
彼の行く末を心配した周囲の勧めもあり、シンは王都の学園で常識を学ぶことに。
アニメの放送も始まった無自覚チートなろう系です。
失格紋の最強賢者~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~
戦闘には向かないとする第一紋を持って生まれながら、努力によって世界最強の魔法使いまで登りつめた男がいた。彼は3つの国を滅ぼした恐るべき竜に27秒で完勝したが、勝利の喜びよりも虚しさや物足りなさばかりが募る。
男の目標は学者たちが空の向こうにあると言う宇宙。そこに存在する常軌を逸した魔物たちに勝つことだった。
紋章を後天的に変更するのは不可能。そのため男は転生術によって新たに生まれ変わり、人生リセマラで新しい紋章を得ようとする。目論見どおり戦闘に向いた第四紋を手に入れ準貴族の三男マティアスに生まれ変わるが、長い時を経て世界の常識は一変しており、第四紋は魔法使いに向かない失格紋と蔑まれるようになっていた。
この世界を歪に変えたのは何者なのか。マティアスは人類の敵立ちと対決する。
まとめ
というわけで『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語』を紹介してきましたが、なろう系らしい無自覚チート系主人公とハーレムの組み合わせを、主人公ロイドの人柄で読ませる作品になっております。
そのため本作を好きになれるかどうかは、そのままロイドを好きになれるかどうかに直結してくる問題であり、良くも悪くもロイドを応援したくなるかどうかで評価が定まる漫画ですね。