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『王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです (ベリーズ文庫)』感想

『王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです (ベリーズ文庫)』

最近Kindle Unlimitedに再加入しました。Kindle Unlimitedというサービスは、やたら女性向けのティーンズラブ(TL)ノベルが充実しており、おすすめの作品でもプッシュされてきます。

こういうジャンルの小説を読んだことがない人にざっくり説明しますと、女性向けのえっちぃ展開がある小説です。設定はファンタジーものが多く、最近ではWEB投稿からの書籍化作品も増えており、一般ライトノベルと同じように異世界転生や転移もあります

美少女文庫や二次元ドリーム文庫などを思い浮かべていただくと男性にはイメージつきやすいかと思います。

ジャンル名で言うと「乙女系ノベル」ですかね。ジュエル文庫編集部が『キスの先までサクサク書ける! 乙女系ノベル創作講座』というタイトルで、これ系のジャンル小説を書きたい人のためのハウツー本も出しています。

電子書籍サイトでは数年前の旧作乙女系ノベルが読み放題プランの対象になっていることが多く、私もauスマートパスや以前Kindle Unlimitedに登録していた時期は月30~50冊程度は読みました。

あまり前置きを流してもしょうがないですね。そろそろ『王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです』のレビューに入っていきましょう。

『王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです』あらすじ

大国の王太子と政略結婚することになった王女ラナは、嫁入り早々、敵国の刺客に誘拐されてしまう。そのピンチを華麗に助けてくれたのは、なんと婚約者であるエドワード。キュンと胸がときめくも、自由奔放なラナと強引なエドワードはケンカばかり。ところが、あることをきっかけにふたりの仲は急接近!?「お前は俺のものだ」と腕の中に閉じ込めて離さない彼の独占愛に、ラナは溺れていき…。

こういうジャンル小説はパターンが決まってるため、あらすじを読んだ段階である程度は先の展開が読めます。それは悪いことばかりじゃなく、読者が自分の好きなタイプの作品かそうでないか事前に把握して購入できるメリットがあります。

ただ本作の場合は少し読みが外れたというか、ハッキリ言えば「前半は反目してた2人が急接近して中盤からは寝ても覚めてもセックル、セックルなんだな」と予想したところ、なんと本番シーンが一度もないまま終わりました。

乙女系ノベルを読んだことない人にはいまいち伝わらない驚きだと思います。思い出してほしいのはジュエル文庫編集部が出したハウツー本のタイトルが『キスの先までサクサク書ける! 乙女系ノベル創作講座』だったことです。

キスの先まで書くジャンルなんですよ。乙女系ノベルっていうのは!



『王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです』を読んだ感想

レーベルの特色にもよりますが、乙女系ノベルは始まってから終わるまで、ひたすらヤッてるだけの作品も少なくありません。エロの合間に申し訳程度のストーリーが入ってくる作品もたくさんあります。

女性は男性に比べてエッチシーンまでの過程を大事にするとか、ストーリーや関係性を重視するとかいった観念論を信じていると「えっ! こんなストーリーおざなりでいいの?」と驚くこともあるかと存じます。

1冊につきエッチシーンを最低3回は入れてくださいとか、もっと冒頭に読者が喜びそうなエッチシーンを入れてくださいとか編集部から注文が入り、全体の流れを調整しながらプロとして作品を整えていった結果かと思います。

それはそれとして。そういう作品に慣れてしまった読者目線からすると、本作はキスシーンが何度か描かれるだけで、夫婦が致してる本番行為は一切出てこないことに「これでいいんだ」という軽い驚きがあります。

終盤に夫婦の初夜は済ませてる描写あるんですが、ほかのレーベルなら数十ページ使って書きそうな行為シーンが朝ちゅんで処理されてます。

もっとヒロインの危機にバリエーションが欲しい

王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです』っていうタイトルは誤解を招きそうですね。だってヒーローが無自覚どころか、初対面から一目惚れしてヒロインを甘やかしまくってますもん。

無自覚……なのか?

本作で気になったのはヒロインの危機にバリエーションがないこと。作中で行われてることは「ヒロインが誘拐される(されそうになる)→ヒーローが助ける」の繰り返し。それを3回かな? 始まってから終わるまで繰り返します。

もちろん毎回の出来事は違いますよ。誘拐される場所、相手、シチュエーションは異なっていますが、ガワだけ変えても根本的な問題は常に一緒なんですよね。だから読んでるほうは同じ展開の焼き直しを見せられてる感じがして、特に中盤の帝国が出張ってきたあたりからは話が進んでるんだか進んでないんだか曖昧になってきます。

まとめ

全体的にかわいらしい作品と言いますか、エロシーンがドギつくないこともあり、さらっとした手触りで読めます。それだけに読み終わったあとの印象は残りにくいかな?

読んでる間の印象は悪くなかったんですけど、読み終わったあとに「じゃあどこが面白かった」と聞かれると、思い出せるシーンがほとんどないんですよね。

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