映画

温暖化で地球が鮫に支配された未来を描く『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星』

鮫の惑星

"Planet of the Apes"といえばSF映画の金字塔として名高い『猿の惑星』だが、今回ご紹介する『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星』は、そのタイトルをもじりながら設定はまったく別物で、むしろ『ウォーターワールド』に近い珍品。

時と場所は近未来の地球。温暖化による海面上昇で大地は海に沈み、人類は海上に設けた浮島に転々と暮らしながら、なんとか種を保ち続けている状況だった。かつて生態系の兆点に君臨した人類だが、文明の大半を失った現在その栄華は見る影もなく、代わって生態系の兆点に躍り出たのは獰猛なサメたち。

物語は小規模な浮島がサメ軍団の襲撃に遭い、ひとりの少女を残して全滅する場面から始まる。

『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星』感想(ツッコミ多め)

壮大な設定から捻り出される小規模な人間ドラマ

温暖化で文明が海底に沈んだ近未来。資源の枯渇も時間の問題で刻一刻と人類滅亡は迫る。この危機を脱する一発逆転の方法として、科学者たちが集まる浮島では二酸化炭素除去装置搭載のロケットを飛ばし、緑の地球を取り戻そうとする計画が進行していた。

この計画を中心に物語は進む。ロケット計画を主導する女博士、その助手たち、彼女たちと契約して働くクルーザー所有の運び屋、協力関係にあるアマゾネスなどが主要人物。

壮大なSF設定を掲げて始まった『PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星』だが、低予算サメ映画にその構想を映像化する余力などあるはずもなく、ストーリーの大半は数人の人物間で交わされる人間ドラマ。

遠景のショットを映すと浮島のロケ地が意外と陸地に近いことがバレてしまうためか、ほとんどのシーンでカメラは人物に寄ったショットを提供する。

生き残った少女の存在意義とは?

オープニングシークエンスで集落がサメに襲撃され唯一の生存者となった少女。その後も主要キャストに加わりエンディングまで生き延びるのだが、作中ほとんど台詞らしい台詞もなく、目の前に存在しないサメにリアクションしながら周りの大人について歩くだけの存在になってしまっている。

家族を奪われた少女がサメに一矢報いる熱血展開も、彼女がなにか物語上のキーになるアイテムや能力を有していることもなく、本当にただ生き延びただけ。身内の娘さんとかだったんでしょうか。

ロケット開発チームのアシスタント男は何者?

科学者チームを率いる女博士は多忙。あちこち移動しながらロケットに必要な部品集め、武闘派アマゾネスとの交渉、サメ退治にと八面六臂の活躍を見せる。そのためロケット開発を現場で主導するのはイシというアシスタント。

この男が序盤は文句ばかり言ってる(ロケット開発を優先したい立場からすれば正論でもある)のだが、終盤になると急に「お前そんなことできたの!?」という能力を見せて輝き出す。

人類対サメ。生き残りを懸けたラストバトルで突如として刀を持ち出したイシは、飛びかかってくるサメどもをバッタバッタと斬り伏せる。それまでサムライソードの存在も東洋の思想に傾倒してる描写もなく、唐突に刀が出てきたと思ったら剣豪だった。

同僚の女アシスタントと熱烈なキスを交わして戦地に赴くフラグもバッキバキにへし折って生き延びる。

ツッコミながらも意外と普通に観れる

低予算映画ゆえのツッコミどころは多数あるが、そこは割り切って楽しむしかない。そう大らかに構えるとツッコミどころ多数なりに意外と楽しめる。

CGがPlayStation2のムービー並だとか、400人規模の浮島を率いる(設定)アマゾネスのサメ狩りダンスに10人程度しか参加してないとか、ロケット発射に足りない電力を母サメに鉄棒ぶっ刺して得るとかツッコミどころはあるが、支離滅裂で一本の脚本として完成してるかも怪しい作品もあるサメ映画の中では比較的まとも。

意外と普通に楽しんじゃったな、がエンドロールを迎えての感想だった。それゆえに破綻寸前や破綻してる物語を力業でエンディングまで持っていく、荒唐無稽でパワフルなサメ映画を期待する観客には物足りないかもしれない。

なんて感想を書いてから気づいた。ひょっとして続編あるの?

あらすじを読んだ限り同じ世界観の別な舞台で行われている話か。

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